職務要約の例文 管理職・部長クラスは3〜5行で「任せられること」を書く
職務経歴書の冒頭に置く「職務要約」は、読み手が最初に目を通し、先を読むかどうかを決める部分です。管理職の書類では、ここに経歴の流れを書き並べてしまうと、肝心の「何を任せられる人か」が伝わりません。3〜5行で何を書けばよいかを、例文とあわせて整理します。
この記事の結論
管理職の職務要約は、経歴のあらすじではなく「この人に何を任せられるか」への答えです。領域・規模・代表的な成果の3つを3〜5行に入れ、最後の1文を次の会社で担えることで締めます。
「領域×規模×成果」を3〜5行に入れます
職務要約は、職務経歴書全体の答えを先に示す部分です。管理職の場合は、次の3つを入れれば、読み手は続きを読む理由を持てます。
- 領域:どの業界の、どの仕事を専門にしてきたか
- 規模:どのくらいの組織・予算を任されてきたか
- 成果:その立場で出した、代表的な成果を1つか2つ
最後の1文で、次の会社で担えることを書いて締めます。長さは200〜300字ほど、行数にして3〜5行が目安です。
型と、書く順番
①〇〇業界で〇〇に〇年従事。 ②直近は〇〇として〇名・予算〇億円の組織を統括。 ③〇〇に取り組み、〇〇という成果をあげた。 ④〇〇の経験を活かし、〇〇に貢献できる。
①で領域、②で規模、③で成果、④で次に担えることを示します。すべてを1文に詰めず、文を分けたほうが読みやすくなります。
例文
営業部長
電子部品メーカーにて法人営業に18年従事。直近6年間は営業部長として3課・42名を統括し、年間売上目標80億円の達成に責任を持ってきました。担当業種別だった組織を顧客規模別に再編し、大口顧客の取引額を2年で1.4倍に拡大。事業部売上を2期連続で前年比110%に伸ばしました。営業組織の立て直しと管理職の育成の経験を活かし、貴社の事業拡大に貢献できると考えております。
経理財務の責任者(CFO候補)
上場企業2社で経理・財務に15年従事。直近は経理財務部長として12名の組織を率い、月次決算の早期化(10営業日から5営業日へ)と、金融機関との借入条件の見直しを主導しました。子会社3社の買収では、財務調査から統合後の会計処理の統一までを担当。管理部門の体制づくりと資金調達の経験を、貴社の上場準備に活かしたいと考えております。
工場長・製造部門の責任者
自動車部品メーカーにて生産管理・製造に20年従事。直近5年間は工場長として従業員320名の工場を統括し、生産計画・品質・安全・労務の全般を担ってきました。生産ラインの段取り替えの短縮に取り組み、稼働率を8ポイント向上。休業災害ゼロを4年連続で継続しています。工場運営と現場の人材育成の経験を活かし、生産体制の強化に貢献いたします。
IT部門の責任者
小売業の情報システム部門で15年、システムの企画・開発・運用に従事。直近は情報システム部長として社員25名と外部パートナー約60名を統括し、年間予算18億円を管理してきました。基幹システムをクラウドへ移行し、運用コストを年間2割削減。店舗とECの在庫を一元化する仕組みを立ち上げました。事業部門と並走するIT組織づくりの経験を、貴社のDX推進に活かせると考えております。
人事部長
人材サービス業と製造業の2社で人事に16年従事。直近は人事部長として8名の部門を率い、採用・評価・報酬制度の見直しを担当しました。等級と評価の仕組みを作り直し、管理職の評価への納得度を社内調査で20ポイント改善。中途採用の仕組みを整え、年間採用数を3年で2倍にしました。制度の設計から現場への浸透までの経験を、貴社の組織拡大の局面に活かしたいと考えております。
経営企画の責任者
メーカーと IT 企業の2社で経営企画に12年従事。直近は経営企画部長として6名の部門を率い、中期経営計画の策定と、予算の編成・進捗管理を担当してきました。不採算だった2事業の撤退と、成長事業への人員の移し替えを社長とともに進め、全社の営業利益率を3年で4ポイント改善。M&Aの候補先の調査から統合後の計画づくりまでも担いました。事業の選択と数字での管理の経験を、貴社の次の成長段階に活かせると考えております。
経営企画は、社長や役員を支える立場のため、自分の成果が見えにくい仕事です。「計画を作った」で止めずに、その計画で会社の数字がどう変わったかまで書くと、立場の重さが伝わります。
例文の数字や業界は、書き方を示すためのものです。自分の経歴の事実に置き換えて使ってください。
やってしまいがちなこと
経歴のあらすじになっている
「2004年に〇〇に入社し、営業部に配属。2010年に課長に昇進し……」と年代順に書くと、職務経歴の繰り返しになります。職務要約では、経歴の結論だけを書きます。
形容詞だけで規模がない
「大規模な組織を統括」「多くの部下を育成」では、どのくらいかが分かりません。人数・予算・拠点の数など、数で書ける部分は数で書きます。
成果を並べすぎる
成果は1つか2つに絞ります。たくさん並べると、どれがいちばん大きな成果なのかが伝わりません。残りは職務経歴の欄に書きます。
どの会社にも同じ要約を出している
最後の1文(次の会社で担えること)は、応募先ごとに書き換えます。応募先が求めているポジションに合わせて、③で挙げる成果を入れ替えるのも効果があります。
複数の会社を経験しているとき
会社ごとに1文ずつ書くと、行数が足りなくなります。複数の会社に共通する専門と、直近の会社での規模を中心にまとめます。
メーカーと商社の3社で、海外営業に通算17年従事。いずれの会社でも新しい地域への販路づくりを担い、直近は東南アジア事業部長として現地法人2社・従業員150名を統括しています。……
「3社で」「通算〇年」のように、会社の数と年数をまとめて示すと、転職の多さより経験の厚みが先に伝わります。
応募先に合わせて書き換える例
同じ経歴でも、応募先が求める役割によって、③の成果と④の締めの1文を入れ替えます。上の営業部長の例文を、2つの応募先に合わせて書き換えると次のようになります。
営業組織の立て直しを求める会社に出す場合
電子部品メーカーにて法人営業に18年従事。直近6年間は営業部長として3課・42名を統括。担当業種別だった組織を顧客規模別に再編し、大口顧客の取引額を2年で1.4倍に拡大しました。課長3名を育て、うち2名は社内から登用しています。組織の再編と管理職の育成の経験を活かし、貴社の営業体制の立て直しに貢献できると考えております。
新しい顧客層の開拓を求める会社に出す場合
電子部品メーカーにて法人営業に18年従事。直近6年間は営業部長として3課・42名を統括。これまで取引のなかった医療機器メーカー向けの販路を立ち上げ、3年で事業部売上の15%を占める取引に育てました。新しい顧客層への販路づくりの経験を活かし、貴社の新しい市場での事業拡大に貢献できると考えております。
どちらも経歴の事実は同じです。変えたのは、先に見せる成果と、次の会社で担えることの書き方だけです。応募先の求人票やスカウトの文面にある言葉を手がかりに、どの成果を先に出すかを決めます。
AIで下書きを作るとき
職務要約を白紙から書くのが難しいときは、AIで下書きを作ってから直すのも一つの方法です。ただし、AIが書けるのは、入力された経歴を整えた文章までです。どの成果を選ぶか、応募先で何を担えると言うかは、自分で決めて書き直します。
数字や固有の取り組みは、AIの下書きでは一般的な言い回しになりがちです。下書きの中の「多くの」「大幅に」といった言葉を、事実の数字に置き換えるところから始めると、短い時間で自分の要約になります。
履歴書EXで作る場合
履歴書EXの職務経歴書では、手順4の「Executive Summary(職務要約)」に入力した文章が、出力される書類の冒頭の「職務要約」に入ります。
「Generate with AI Assistant」のボタンから、AIで職務要約の下書きを作れます。AIは、それまでに入力した職務経歴と活かせる経験・スキルをもとに、150〜300字の下書きを作ります。先に職務経歴とスキルを入力しておいてください。「特に強調したい経験・軸」の欄に、軸にしたい経験を書いてから作ることもできます。できた下書きは職務要約の欄に入り、欄にすでに書いてあった文章は置き換わります。残したい文は、強調したい経験の欄に写してから作ってください。下書きができたら、上の型に沿って自分の言葉に直します。
よくある質問
- Q. 職務要約と自己PRの違いは何ですか
- A. 職務要約は経歴の要点、自己PRは強みとその根拠です。職務要約には「何をしてきたか」を、自己PRには「なぜそれができたか(強み)」と「次の会社でどう活かすか」を書きます。同じ成果を両方に書く場合は、職務要約では結果だけ、自己PRでは結果に至った考え方を書くと重なりません。
- Q. 職務要約は「です・ます」で書きますか
- A. どちらでもかまいません。職務経歴書の中で揃えます。「〜に従事。」のように体言止めを交えると短くまとまります。
- Q. 役員としての経験を書くときの注意はありますか
- A. 役員としての経験は、担当していた領域(営業担当取締役、管理担当など)と、経営会議で担っていた役割を書きます。会社全体の成果を自分一人の成果のように書くと、面接で確かめられたときに説明が苦しくなります。担当領域での判断と結果に絞ります。