管理職の職務経歴書の書き方 マネジメント経験は規模と成果で伝える
課長、部長と役職を重ねてきても、職務経歴書に「営業部長として営業部を統括」と書くだけでは、どれほどの仕事をしてきたのかが伝わりません。同じ「部長」でも、会社によって組織の大きさも任されている範囲もまったく違うからです。管理職の職務経歴書は、役職名ではなく、規模・権限・成果で書きます。
この記事の結論
管理職の職務経歴書で読み手が知りたいのは、役職名ではなく、どの規模の組織を、どんな権限で動かし、何を変えたかです。会社ごとの職務経歴に「規模・権限・成果」の3点をそろえて書くと、任せられる仕事の大きさが伝わります。
「規模・権限・成果」を会社ごとにそろえます
管理職の採用で、書類を読む人(人事、役員、紹介会社の担当者)が最初に確かめるのは、応募者がどのくらいの大きさの仕事を任されてきたかです。自社で用意しているポジションと比べるためです。
そのため、会社ごとの職務経歴には、次の3点をそろえて書きます。
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 規模 | 部下の人数、組織の数、担当した売上や予算 | 3課・42名を統括。部門予算12億円 |
| 権限 | 報告先、決められた範囲(予算・採用・評価) | CEO直下。採用と評価の最終決定を担当 |
| 成果 | その立場で変えたことと、その結果 | 組織を再編し、売上を2期連続で前年比110%に |
3点がそろうと、読み手は「この人に任せると、うちの組織でどこまでやれるか」を思い描けます。
1社分の書き方
会社ごとに、在籍期間・会社の概要・役職の変化・業務内容・実績の順で書きます。
2016年4月〜現在 株式会社〇〇(電子部品メーカー/従業員800名) 2016年4月〜2019年3月 営業本部 法人営業二課 課長(部下8名) 2019年4月〜現在 営業本部 営業部長(3課・42名/CEO直下) 【業務内容】 ・国内法人営業3課の統括(売上目標・予算12億円の管理) ・営業戦略の立案と、重点顧客の選定 ・課長3名の育成と評価、営業職の採用の最終面接 【実績・成果】 ・担当業種ごとに分かれていた課を顧客規模別に再編し、 大口顧客の取引額を2年で1.4倍に拡大 ・事業部売上を2期連続で前年比110%に成長 ・課長職2名を社内から登用し、部長不在でも回る体制を作った
会社の概要(業種と従業員数)は1行で十分です。読み手が「その会社での部長」がどのくらいの立場かを測る目安になります。
規模の書き方
部下は「直属」と「全体」を分けます
部下の人数は、直属の部下と、組織全体の人数を分けて書くと正確に伝わります。「課長3名を通じて営業職42名を統括」のように書けば、何階層の組織を見ていたかも分かります。
お金の規模は、担当していたものを書きます
売上の目標、部門の予算、プロジェクトの総額など、自分が責任を持っていた数字を書きます。会社全体の売上は、会社の概要の行に書けば足ります。
権限の書き方
権限は、職務経歴書でいちばん書き漏れやすい項目です。次のような点を、業務内容の中に1行ずつ入れます。
- 報告先:社長・役員会・事業本部長など、誰に報告していたか
- 予算:予算を作る立場か、決められた予算を使う立場か
- 人事:採用・評価・配置を決めていたか、意見を出していたか
- 社外:取引先との契約や価格を決めていたか
同じ「部長」でも、予算と人事を自分で決めていた人と、上の承認を得て動いていた人とでは、次の会社で任せられる範囲が違います。どちらが良いということではなく、正確に書くことが大事です。
成果の書き方
「何をして、どうなったか」を1文で結びます
成果は、打った手と結果をつなげて書きます。結果だけを書くと、市場の追い風だったのか、自分の判断の結果だったのかが分かりません。
× 売上を前年比120%に伸ばした ○ 値引きに頼っていた提案を、保守契約込みの提案に切り替え、 売上を前年比120%、利益率を3ポイント改善した
部下の成果と、自分の成果を書き分けます
管理職の成果は、部下が出した成果と重なります。書くときは、自分が決めたこと・作った仕組みを主語にします。「部下が大型案件を受注」ではなく、「大型案件に人を集める体制に変え、受注につなげた」のように書きます。人を育てて任せたこと、登用したことも、管理職としての立派な成果です。
うまくいかなかった経験も材料になります
撤退した事業、立て直しに時間がかかった組織など、うまくいかなかった経験も、何を判断し、何を学んだかを添えれば書けます。経営に近い立場の採用ほど、難しい局面での判断が見られます。
数字を出せないとき
売上や利益の金額が社外秘のことはよくあります。そのときは、比率や規模感に置き換えます。
- 金額の代わりに「前年比」「〇ポイント改善」で書く
- 「数億円規模」「売上の約3割を占める事業」のように幅で書く
- 顧客名は「大手自動車メーカー」のように業種と規模で書く
守秘義務に配慮した書き方ができること自体が、管理職としての判断力の表れになります。
プレイングマネージャーの場合
自分も数字を持ちながら部下を見ていた場合は、両方を書きます。「チーム目標の達成(部下5名)」と「個人売上の実績」を分けて書くと、応募先がどちらの役割を期待しているかに合わせて読んでもらえます。
並べ方と枚数
編年式と逆編年式
職務経歴の並べ方には、古い順に書く「編年式」と、新しい順に書く「逆編年式」があります。管理職の応募では、直近の役割がいちばん見てほしい経験になることが多いため、逆編年式が向いています。若いころの経験が応募先の仕事に直結している場合は、編年式でもかまいません。
A4で2枚程度が目安です
経歴が長くなるほど、書きたいことは増えます。詳しく書くのは、直近10〜15年と、応募するポジションに関係する経験に絞ります。それより前の会社は、会社名・期間・役職を1〜2行で書けば足ります。
冒頭の職務要約で先に答えます
職務経歴書の最初には、経歴全体を3〜5行でまとめた「職務要約」を置きます。読み手は冒頭で読み進めるかどうかを決めるので、「どの領域で、どの規模の組織を、どんな成果につなげてきたか」をここで先に示します。書き方と例文は、職務要約の例文(管理職・部長クラス)の記事で解説しています。
活かせる経験・スキルは箇条書きで
職務経歴とは別に、応募先で活かせる経験やスキルを箇条書きでまとめます。管理職の場合は、次のような項目が並びます。
- 事業計画の策定と損益(PL)の管理
- 組織の立ち上げ・再編(〇〇名規模)
- 管理職の育成と評価制度の運用
- M&A後の組織統合(PMI)
- 英語でのビジネス交渉(海外拠点との会議を担当)
1行に1項目で、応募するポジションに近いものから並べます。
応募先ごとに変えるところ、変えないところ
管理職の採用は、ポジションごとに求められる役割がはっきりしています。同じ職務経歴書をどの会社にも出すより、応募先に合わせて見せ方を変えたほうが伝わります。
- 変えるところ:冒頭の職務要約で先に示す経験、業務内容・実績の箇条書きの並び順、活かせる経験・スキルの並び順
- 変えないところ:在籍期間、役職名、部下の人数や予算などの数字、成果の事実
たとえば、営業組織の立て直しを求める会社には、組織の再編と育成の実績を先に置きます。新しい事業の立ち上げを求める会社には、新しい販路や商品を作った経験を先に置きます。書く事実は同じで、並べる順番を変えるだけです。数字や役職を応募先に合わせて変えると、面接やリファレンスチェックで食い違いが出ます。
履歴書EXで作る場合
履歴書EXの職務経歴書は、会社ごとに会社名・入社年月・退社年月・「業務内容・実績」を入力する形です。「業務内容・実績」の欄に、上の例のように役職ごとの期間・規模・権限・成果を書いてください。在籍中の会社は「在籍中」にチェックを入れます。会社の概要(業種と従業員数)は、「業務内容・実績」の欄の1行目に書くと、会社名の欄がすっきりします。
並べ方は、左の欄で「Chronological(編年式)」と「Reverse(逆編年式)」を切り替えられます。並び順は入社年月で決まるので、入力した順番を気にする必要はありません。活かせる経験・スキルは、1行に1項目ずつ入力します。
よくある質問
- Q. 役職が社内だけの呼び名です
- A. 正式な役職名のあとに、かっこで一般的な呼び名や規模を添えます。「ユニットリーダー(課長相当・部下12名)」のように書けば、会社の外の人にも伝わります。
- Q. 管理職の期間が短いのですが、書いてよいですか
- A. 期間にかかわらず書けます。短い期間でも、任された規模と取り組んだことを正確に書けば、経験として伝わります。
- Q. 管理職から専門職に応募します。マネジメント経験は書くべきですか
- A. 書いてかまいません。ただし、応募する仕事の専門性を先に書き、マネジメント経験は「チームを率いた経験」として後ろに添える程度にします。応募先が求めている役割に合わせて、どちらを前に出すかを決めます。